医療の規制緩和について考える~薬学部面接ネタ帳

規制緩和によって、医師、看護師、薬剤師など医療従事者の仕事が流動的になっていることを踏まえ、そのメリットとデメリット両面を考察しています!薬剤師の将来を考えるきっかけになるのはもちろん、面接のある薬学部受験生にとっては面接の話題探しにも有効♪
規制緩和により、医療関連の法律が少しずつフレキシブルになっています!ここではそのメリット&デメリットを分析♪

医療の現在を探る~規制緩和の光と闇

医療、薬事の規制緩和には様々な種類があります。例えばスイッチOTC化によって処方箋医薬品を一般用医薬品として販売できるようになったこと、薬剤師の派遣が可能になったことなどです。もちろん、他にも色々な例が挙げられるでしょう。
しかし、医療の規制緩和が常に正しい方向に進むとは限りません。今までに提案された規制緩和の中には、薬剤師のアイデンティティを本質的に奪いかねないものまであったのです。ここでは、医療崩壊を招きかねない事例も含め、過去に検討された規制緩和の事例に迫ってみましょう。

規制緩和の闇~医療を破壊する特定看護師制度

医療における規制緩和の闇の部分としては、2007年、2009年の2回にわたって提案された特定看護師という制度が挙げられます。なんと技能の優れた一部の看護師に特定看護師という資格を与え、簡易な検査と薬の処方を認めようという提案だったのです。提案したのは大分岡病院と大分県立看護大学。もちろん却下されました。
薬の処方を看護師が行えるようになれば、薬剤師の存在意義が疑われかねませんし、医薬分業の流れにも反します。また、看護師は人員不足が続いており、過労死寸前の激務に晒されている方も多いのが現状。これ以上の負担を強いることは、看護師にとってもマイナスになるはずです。万が一にも激務に輪をかけてしまえば、看護師の離職率を大幅に上げてしまい、医療崩壊を招くことにもなりかねません。
これは看護師、薬剤師の双方にとって迷惑な提案だったと断じざるを得ないでしょう。

規制緩和の光~薬局の開設・運営が容易に

これまで、薬局には調剤録および調剤済みの処方箋を3年間にわたって保存する義務が課せられていました。このため、特に紙媒体の場合、薬局は処方箋の保管スペースを確保しなければならず、事実上、現在進行形の調剤業務とは無関係なデッドスペースを用意するために広いテナントを借りなければならない状態が続いていました。
厚生労働省は今年、このルールを規制緩和。紙媒体、電子媒体ともに薬局外での外部保存を認めたのです。このため、今後は充分な保存場所を確保できなくても薬局の運営が可能になりました。
経営者の高齢化により70年代に開業した薬局の閉鎖が続いている今、薬局の開設条件が緩和されたのは大きな前進といえます。