薬のネット販売!その是非に結論が出ました!
薬剤師の未来に関わる、薬のネット販売に関する問題について衆議院が下した結論を要約&解説!改正薬事法で一般薬のネット販売はどう変わるのか?そして、処方箋薬の規制緩和はあり得るのか?そのすべてをご説明します。
これまで、その是非を巡って論争が続けられてきた“薬のネット販売”について、ついに結論が出ました。衆議院厚生労働委員会で可決された改正薬事法の内容は?
薬のネット販売論争に一応の結論!11月27日の衆議院厚生労働委員会
長らく論争の種となっていた一般の医薬品のインターネット販売に、とりあえずの結論が出ました。11月27日、衆議院の厚生労働委員会で“薬事法および薬剤師法の一部を改正する法律案”が審議され、賛成多数によって可決されたためです。
これで、去年、最高裁が薬のネット販売を規制する厚生労働省の省令を違憲としたことから始まったネット販売の是非を巡るやりとりに、一応の終止符が打たれたことになります。それでは、どのような内容で可決となったのか、改正薬事法の内容についてご紹介しましょう。
事実上、ネット販売を認めた改正薬事法!
結論から言うと、一般用医薬品のネット販売については認められたと考えて良いでしょう。規制すると明言されたのは処方薬の販売のみで“人体への作用が激しく重篤な副作用が生じる恐れもある処方薬については、薬剤師が対面販売し、薬学的知見にもとづく情報提供、指導を行う”といった文言になっていました。
そのほか、違法なネット販売を防ぐための監視を徹底すること、個人情報保護や過量購入を防止するための措置をネット販売事業者に求めていく…といった内容が盛り込まれていますが、これらは正直、言うまでもない内容といった印象。違法な販売はこれまでも規制されていたわけですし、過量購入防止や個人情報保護についても、当然に義務づけられるべきだからです。
これらを要約するならば“一般薬のネット販売はOK、でも処方薬については絶対に規制緩和しないよ”という方針を固めたということになるでしょう。
ネット販売の許可で、薬局の未来はどうなる!?
質疑応答の際には日本維新の会の議員が“地方の薬局で、処方箋と一般薬を両方扱っている店舗の商機に悪影響を与えてしまうのではないか”といった懸念を示しました。これに対し、土屋厚労相は“医療経済実態調査によれば個人の調剤薬局における利益の97%は処方箋で、それ以外は3%に過ぎない”ことを理由に、個人薬局への影響は大きくないという意見を述べています。
確かに、一般薬をわざわざ調剤薬局に買いに行く人は少ないので、むしろネット販売と競合するのは処方箋を扱わないドラッグストアのほうでしょう。調剤薬局の経営が危ぶまれる心配は今のところなさそうです。
これから薬剤師になる方への影響についても、第1類医薬品を扱うネット販売業者には薬剤師常駐が義務づけられているわけですから、むしろ就職先の幅が広がったと捉えることも可能。特にネット販売の普及が薬剤師に悪影響を与えるといった心配をする必要はなさそうです。