先輩たちが活躍している進路先・職業をご紹介します。薬剤師の資格を活かせる就職先はどこか?

就職先はどんなところがあるの?

就職先はどんなところがあるの?(イメージ)

薬学部に進学して学んだ卒業生たちは、その後はどのような進路を歩むのでしょうか?
薬剤師の国家資格を取得したとしても、進路は薬剤師だけに限りません。薬剤師をはじめ、製薬会社、研究者、公務員などさまざま。
気になる卒業生たちの進路についてご紹介します。

薬学部卒、最も多い就職先は?

進路が多いのは調剤薬局や病院など

薬剤師国家資格を生かした最も多い進路は、やはり調剤薬局や病院、ドラッグストアですね。(※)多くの方がイメージを抱くのではないでしょうか。
仕事内容は、調剤薬局や病院であれば処方された薬を処方された分量調合するという調剤業務がメインとなりますが、ドラッグストアに関しては、レジ打ちや接客などの仕事も含まれると思います(規模により異なる)。
次に多かった就職先は製薬企業。
ここで活躍するのは研究職や開発職ですね。これは基本的に大学院を卒業した学生に多く、偏差値上位校の学生から人気がある職業でもあります。
そしてMRも人気があります(MR:メディカル・リプレゼンタティブの頭文字をとったもの)。MRは医薬情報担当者(医薬品営業)のことです。この仕事は薬剤師資格は不要ですが、薬学の知識が求められることで薬学部の卒業生が大半を占めます。当然のことながら研究職や開発職の方が競争率は高いのですが、MRも待遇がよく、キャリアを積んでいけば年収も高くなる人気の職業。
薬剤師の年収は低くても初年度から350~400万円ほど、勤続5年ほどで1000万円になるという企業もあります。
※当サイトで調査した大学のデータを参考にしています。

薬剤師の資格で長く活躍できる仕事は?

管理薬剤師なら長く働ける!

前述で触れた職場で経験を重ねながら役職に就くことは可能ですが、もっとやりがいのある仕事で早く出世した方に人気があるのは『管理薬剤師』という仕事。
その職場において様々な業務が行われる中で管理を行い、それに対して責任を負い、スタッフの指導も行う、すなわち管理職です。在籍している店舗に、どのような薬を仕入れ、どういった陳列をし、どのようなお店にしていくのか、ということを常に考え、ワンランク上の薬剤師を目指すことができます。
他には、ドラッグストアも幅広く仕事ができると思います。調剤と併設している店舗であれば薬剤師の仕事も接客も両方できますし、ドラッグストアは医薬品の他に化粧品や日用雑貨など幅広く展開している点や、今の高齢化社会を支える上で欠かせない業界であることを考えると、長く活躍できる仕事だと思います。
薬剤師の資格を取得しておけば、薬局や病院での勤務だけにはとどまらず、上記の職場で活躍できるのでさらに就職先は広がります。薬学部在籍中に、漢方やハーブに惚れ込み、そちらの方面にいく卒業生もいますね。昔と違って薬剤師は広く活躍できる仕事です。

こんなところにも就職の可能性が!

薬剤師が公務員として活躍できる?!

実はあまり知られていない、薬剤師が活躍できる場所が存在します。それは公務員です。
学校でも働くことができます。大学以外の学校には保健室がありますよね。保健室や理科室で薬剤を使用したり管理しているのが『学校薬剤師』という仕事。校内の給食やプールなど、健康に影響を及ぼす場所や環境の検査なども行います。
また、国立病院や本庁、保健所、研究所なども。市町村におかれる保健行政の中では、食品衛生監視や、麻薬取締官、自衛隊など。公務員の道は意外と多く選択肢が用意されています。
その他、一般企業では化粧品会社で研究者として活躍している卒業生も多いです。主な業務は成分や肌への安全性、品質の管理など。化粧品を開発する際にはお医者さんや専門家と組むこともあり、薬剤師の存在は欠かせません。研究・開発部門は狭き門ですが、薬学の知識を存分に活用することができます。

病院で働く薬剤師

病院や医院では、たくさんの薬剤師が活躍しています。特に、毎日大勢の患者さんが訪れる大型病院では、処方される薬の量や種類も比例して多くなります。医師が出した処方箋をもとに正確に薬を調合できる薬剤師の存在は、医療現場では欠かせません。

特に近年ではジェネリック薬品も広まっており、取り扱う薬の種類は増える一方ですから、薬のプロフェッショナルの需要はますます高まっています。医師と連携しながら臨床医療にも関われますので、薬剤師としての経験値を高めることもできるでしょう。将来的に別の職場を目指している場合にも、病院勤務を一度経験しておくことはプラスです。

外からは薬学部=薬剤師、または就職先が調剤薬局・ドラッグストア・病院などのイメージがあると思われますが、実はよく調べると薬剤師の仕事の幅は広く、いろんな業界に進める可能性があることが分かります。その理由をご紹介しますので、詳しく知りたい方は『薬学部の就職事情最前線』をご覧ください。

調剤薬局で働く薬剤師

薬剤師の職場といえば、調剤薬局も代表的なところです。医師からの処方箋に従って薬を調合するという点では病院の薬剤師と変わりませんが、調剤薬局では薬剤師自らが服用の指導をしたりリスクの確認をしたりするのが特徴です。

薬には副作用がつきものですから、患者さんの体質や病歴、ほかの薬の服用歴などはしっかりとチェックしておかなければなりません。また、近年では、地域と連携して高齢者の生活指導をするケースなどもあります。患者さん一人一人と直接向き合って服用指導をする経験は、薬剤師としての絶えず向上していきたい人にぴったりです。

ドラッグストア薬剤師

ドラッグストアは日本全国に多く存在しています。日用品や食品も販売しているため、コンビニ感覚で利用している人も多いことでしょう。そのため誰でも働くことができると思われがちですが、実は、一部の医薬品に関しては薬剤師がいなければ販売できないことになっています。特定の時間にしか薬剤師がいないドラッグストアも世間には少なくありませんが、病気はいつ起こるかわからないもの。お客さんのニーズに適確に応えるためには、薬剤師が常駐しているに越したことはありません。

品出しやレジ打ちもする必要があるため向き不向きはあるでしょうが、求人は多いです。

製薬会社の薬剤師

薬剤師の職場として見落とされがちなのは、民間の製薬会社に勤務することです。製薬会社では日常的に新薬開発に勤しんでおり、研究職以外にも自社製品に関する情報を各医療機関に提供していくMRや情報収集に従事するDIという業務もあります。一般企業と違い、どの業務に就く場合でも専門的な薬学の知識が求められますから、しっかりした知識と能力がある人ならば就職先はたくさんあるはずです。

特に海外の製薬会社の場合には、難病治療に直接貢献できる画期的な新薬開発に携われる場合もあるでしょう。薬剤師としてのスキルを最大限に生かせる職場です。

化粧品会社で働く薬剤師

薬学生が活躍できる就職先は調剤薬局やドラッグストア、病院などのイメージを持たれるかもしれませんが、それ以外の就職先でも注目されている業界があります。近年の美意識の向上により、各企業がお客さまの要望に応えようと新商品開発や販売に力を入れている化粧品業界。流行に敏感で、かつチャレンジ精神旺盛な薬剤師が能力を発揮できる業界の1つですが、はっきりいって競争率は高いです。

営業やマーケティング部門は別ですが、新製品開発のための研究・開発職は人気がある職種で、好待遇、やりがいもあり、辞める人も少なく、他の専門知識を持った人たちとの競争になるため狭き門。企業によっては修士卒が最低条件(ほぼ大手)であることも…。また、企業の求める知識・スキルが限られている点から、一般的な求人情報誌・求人サイトで掲載されているケースは少なく、薬剤師専門の転職エージェントに力を借りることが必須になるでしょう。

製薬メーカーで働くCRA(臨床開発モニター)

治験は、新薬を開発するにあたり製品化を目指す医薬品が人に対して安全かつ有効であるかの検証を行うための試験です。実際の患者さんを対象とした臨床実験を行うため、治験を実施する医療機関や医師の調査・選定、モニタリングなど、治験が適切に行われているかを観察・監視し、医療機関へのフォローを担当するなど仕事は多岐にわたります。

勤務先は、製薬メーカーやCRO(※)など。新薬を世の中に販売する上で、大勢の人を間接的に救うことになるため、新薬の知識はもちろん、新しい治療法を学びたい方におすすめ。外出することも多いためフットワークが軽く、出張を楽しめる人であれば活躍できそうですね。
※製薬メーカーから臨床開発業務を委託したり、製薬メーカーにCRAを派遣する機関のこと。